平成１５年８月２５日（月）
約２ヶ月ぶりの２１２市町村カントリーサインの旅である。
今月末から来月上旬、８日間もの連休を取得。当然、長期のツーリングを計画している。
しかし、ある事情により、次の目的地・初山別村を処理する必要が生じた。ある事情とは…。それは次の旅の記録で明らかになる。とにかく、次の旅の最初の目的地が「初山別村」という状態はマズイのだ！そこで、平日の１日限りの休みを利用して初山別に行くことにした。
朝。空を見上げると、黒くて厚い雲が全天を覆っていた。
「こりゃあ、確実に雨になるぞ」
出発をためらいつつ、テレビの天気予報を見てみる。
留萌地方は晴れの予報。しかし、北海道南西部から天気は下り坂で、苫小牧も夕方からは雨という予報だった。
「北は天気いいのか。夕方から雨なら、うまくいけば雨が降り出す前に帰って来れるかな」
出発を決断。日帰りなので、携行する荷物はあまりない。デジカメ・カメラの三脚・地図・財布・カッパさえあれば、とりあえず事たりる。
そして、ただ走るだけでは勿体ないので、手拭なども忘れずに持参。道中、どこかで温泉などにも入りたい。
０８００、曇天の苫小牧市を出発。
国道２３４号線を北上。苫小牧市の街を過ぎてからは片側１車線の田舎道。トラックなどが多い路線だが、はみ出し禁止ではないのでスイスイと追い越して順調に進む。
栗山町から三笠市へは、いつもの「栗山のショートカット」へ。この道はずっとはみ出し禁止区間が続く。前に遅いトラックが走っていたが、安易に追い越すわけにはいかない。ここはマナーよく、トコトコとトラックに追従。道端にはオオハンゴン草の黄色い花が咲き乱れていた。
三笠市から国道１２号線で北上し、奈井江町で左折。ここで小休止。時刻は１０００。空は相変わらず、曇天のまま。
小休止を終え、国道２７５号線で北上。直線が続く道ではみ出し禁止区間も少ない。トラックなどの交通量は多いが追い越しは可能。ただ、取締りも頻繁に行われているので注意は必要。
前回のツーリングまでは、レーダー探知機のイヤホンコードがやや断線ぎみで不調だったのだが、新品を取り寄せて交換した。レーダー探知機の警報音が、再びヘルメット内のイヤホンで聴けるようになったので、少し安心できる。
対向車との距離をしっかりと見極め、少しずつ少しずつ、前を走るトラックの集団を追い越してゆく。勿論、元の車線への復帰も他のクルマの鼻っつらに飛び込むようなマナーに反する行為はしない。
マナーもしっかりと守りつつ、無理のない追い越しで前へ出る。
「よぉし。これでやっと遅い集団を抜けたぞ！」
遅いトラックを追い越し、集団の先頭に出た。前を走るクルマはまったく見えない。速締に注意しつつ、気分よく走れる。
と思った途端、タンクバッグにしまっていた携帯電話がピロロロロピロロロロと鳴り出した。この着信音は職場からのものだ。
「えぇいクソッ！休みの日になんだってんだっ！」
職業柄、休みの日といえども「呼び出し」がかかることがある。こればっかりは仕方がない。
「呼び出しかぁ？ここからなら、高速で戻れば１時間ちょいか」
停車。携帯電話を取り出して電話に出てみると、どうでもいいような用件の電話だった。電話を切って思わず悪態をつく。
「ド阿呆っ！んな用事でわざわざ電話してくんじゃねぇっ！」
電話の相手は上官なので、もちろん直接は言えない言葉。
再び走行を開始。さっき、やっと追い越した集団の最後尾。アホらしくて追い越す気力がなくなった。トコトコと低速で走る。
北竜町を通過。ひまわりで有名な町。
今年の北海道は、冷夏で日照も不足。しかし、道端にはひまわりがいっぱい咲いていた。これで日の光を浴びていれば、もっといい絵になるのだが…。
北竜町で左折し、留萌市幌糠からは山間の道を進み、小平町へと抜ける。
小平町からは国道２３２号線で、日本海を左手に見ながら北上。
天気予報では晴れと言っていた日本海側も雲が多い。しかし、心なしか雲は薄く、苫小牧市よりは明るく感じる。また、やや暖かくなりバイクでの走行には「暑くもなく寒くもなく」快適な気温になった。
「暑ちぃぃぃ！っちゅうぐらいの方が、気分はいいんだけどなぁ」
とは言っても、もう８月下旬。北海道はこれから一気に涼しくなり、季節は秋へと変わってしまう。
「次のツーリング中に暑い日があればいいんだけどなぁ」
日本海沿いの道に出た途端に、他のライダーもたくさん見かけるようになった。
対向車のライダーとはピースサインの交換をし、また、私の前には札幌ナンバーのライダーが走っている。
併走する２台のバイクは「白バイ野郎 ジョン＆パンチ」みたい。ちょっと気分よし！
苫前町の手前で対向のバイクがパッシングをしてきた。
私も前のライダーも減速して警戒。ややしばらく進むとレーダー付のパトカーがアンブッシュしていた。レーダー探知機もしっかりと警報音が鳴っていた。
「よしよし。好調だ」
羽幌町で前を走るライダーが曲がっていった。再びソロ走行。
１２３０、初山別村のカントリーサインに到着。空の雲はかなり薄く、ところどころに青空も見えていた。
デジカメを取り出し、カメラの三脚にセット。
「あれ？カメラの三脚、壊れてる」
カメラの角度を固定できない。ネジが馬鹿になっているらしく、ナナメの角度になってしまう。
「まっ、いいか」
数枚の画像を撮影。その間もたくさんのライダーが通り過ぎ、そのたびに手を振って挨拶。
「よし。じゃ、帰ろう！」
いつもなら、カントリーサインカードを取り出して次の目的地を選択するところであるが、今回は「ある事情」により「次の選択」は行わず。その「ある事情」が何であるかは次の旅の記録で明かしますが、とりあえず今回は苫小牧に帰るだけなのです。
「なんか旨いもの喰いたいな。旨そうな店があったら食事にしよう」
来た道を戻る。今度は、私の後ろに２台のバイクが追従してきた。
道沿いには「うに丼の店」などがあったが、手ごろな店が見つからず。結局、小平まで南下してしまった。ここからは店も民家もない山間の道へと進む。やむを得ず停車。昼食はコンビニの弁当。
携帯電話で苫小牧市の天気を調べたところ、すでに苫小牧市では雨が降り出しているらしい。帰る途中、温泉に立ち寄る用意もしているのであるが、どうやらどこにも立ち寄らずに、まっすぐ帰った方がよさそう。少しでも早く南下した方が雨に当たる時間も短くて済むだろう。
走行再開。どこまで雨に当たらずに南下できるだろうか。栗山町辺りまで晴れていれば御の字か。
北竜・新十津川を経て砂川に抜け、国道１２号線を南下。交通量は多いが、２車線区間で先頭に出た。
しかしその時、対向車がパッシングをしてきた。警戒。減速。レーダー探知機はまったく反応していない。そのまま数ｋｍ走った。
「どこで取締りやってんだよ。通り過ぎたのか？」
レーダー探知機が反応していないので、注意しながらやや加速。しかしその次の瞬間、赤い「停まれ」という旗を持った警察官が物陰から飛び出してきた。
「なんだっ？チックショーめ！捕まったぁ！」
観念して減速。しかし、警察官の視線は私のバイクではなく、私の１００ｍ後ろに後続しているクルマに向けられていた。
「俺じゃないの？」
警察官の横を通過。 ミラー越しに後続車の様子を見てみると、なぜか後続車は停車することなく警察官の横を通過し、警察官はそれを見送っていた。
「そのクルマを停めるんじゃなかったのか？」
不思議。しかしその謎はすぐに解けた。
数ｋｍ先の交差点で信号に引っ掛かった。赤信号。当然、私は停車する。しかし件の後続車は、私のバイクと歩道との間を猛スピードで通り抜け、赤信号を無視して交差点を突破して行った。
「なにしてんの？危っねぇなぁ」
青信号。ややしばらく走るとさっきのクルマが赤信号に引っ掛かっていた。今度は前にトラックがいて歩道との間を通り抜けられずに停車している。
私はバイクなので前に出られる。件のクルマの脇を通り抜ける時に車内を覗き込むと、ドライバーがシートベルトを締めていなかった。
「なんでぇ。ベルトかい」
助手席の女の子はシートベルトを締め、しきりに後ろを振り返っていた。
さっきのはシートベルトの取締り。このクルマは、警察官の制止を振り切って逃げてきたという訳だ。
「ったく、警察も追跡用のパトカーぐらい用意しとけばいいのに」
パトカーが１台あればあっけなく捕まるような状況だというのに、いとも簡単に取り逃がすとは…。これじゃあ警察官の制止に従う「正直者」が馬鹿を見てしまうではないか。
三笠市で「栗山のショートカット」へ左折。さっきのクルマはそのまま直進して行った。上空の雲がだいぶ厚くなってきた。いつ雨が降り出してもおかしくはない。栗沢町茂世丑の駐車場に停車して小休止。ここでカッパを着用しておく。タバコを１本吸って走行を再開。
数ｋｍ走ったところで、とうとう雨が降り出した。栗山町に差し掛かった辺りで、はるか前方の景色がかすんでいた。
「あの辺りから先は強い雨だなぁ」
その強い雨に突入。予想していた以上の激しい降り。あっという間にブーツも浸水。
「ブーツカバーも付けるべきだったか」
ブーツカバーは荷物の中。もう、時すでに遅し。そのまま走行を続ける。激しい雨に打たれながら国道２３４号線を南下。
１７００、ずぶ濡れで苫小牧市の自宅に辿り着いた。
次のツーリングは６日後から。「秋休み」と称し８日間もの長い休みを確保した。今シーズン最大の「長期ロケ」である。
まずどこに向かうのかは、次の「旅の記録」で明らかにします。公開をご期待ください。
８月２５日走行距離 ４９９．８ｋｍ
２輪通算走行距離 １４６９９．１ｋｍ
４輪通算走行距離 ５４６２．２ｋｍ
通算走行距離 ２０１６１．３ｋｍ
走行日数 ４２日
